【CEO】元マッキンゼーIBM V字回復CEOはどのような基準で経営層を選んだか

GW中ということで、少し厚めの本でも読もうかと思い『巨象も踊る』を読んでみました。

今回は、中でも特に示唆深かった「ルイ・ガースナー(IBMを立て直した人)が後が無い崖っぷち状態でどのように経営層を選んだか」について、ポイントをまとめたのでご紹介します。

「いやいやそんな偉い人達の話俺関係ねーし」と思われた方、ちょっと待って下さい!

この人選基準は「マッキンゼーで長年活躍し、かつグローバル超大企業のCEOをいくつも経験し、当時凋落寸前のIBMを奇跡的にV字回復した超絶辣腕経営社が、後が無い状況で経営層を選んだ時の人選基準のケース」です。

あなたが経営側であれば仲間を選ぶ人選の基準として、あなたが選ばれる立場であれば「一流の経営社や上司は自分のどこを見て選んでいるのか」の参考になると思いますよ!

そもそもIBMって?


この『巨象も踊る』という本の主役であるIBMというIT企業ですが、皆さんはご存じでしょうか。

IT企業と言えば現在は米GAFA(Google/Apple/Facebook/Amazon)や中国BAT(Baidu(百度)/Alibaba(阿里巴巴集団)/Tencent(騰訊、テンセント)がイケイケドンドンですね。

IBMも同じくIT企業ですが、BtoB(会社と会社、なおBtoCは会社と個人)の世界では未だに基幹系システム(それが動かないとその会社のコアとなる仕事が動かなくなるシステム)をがっちり握っているIT企業です。

昔は、かの有名なウォーレン・バフェットも株を所有しており、「米国の宝」とも賞された程の企業です。(株はもう売られてしまったらしですが)

目次

IBMはどんな状況だったの?


実はこの超巨大企業IBM、何回か潰れかけています笑。

この本は、IBMが90年代初頭に潰れかけた時、元マッキンゼーでコンサルタントをしており、当時ナビスコのCEOを務めていたルイ・ガースナーがCEOに就任し、奇跡的なV字回復を果たしたストーリーです。

当時、IBMはメインフレームという企業に欠かせない基幹システムを大企業の多くにがっつり導入しており、いわゆる独占に近い状況にあぐらをかいていました。

一方、コンピュータのCPUやストレージ技術の向上により、ユーザ企業はIBMの殿様商売に嫌気がさしたところもあり、徐々にオープン系のシステムにどんどん移行して行きました(ざっくりアポロ13号が月に行った時の部屋1個分のコンピュータから個人用のコンピュータ(PC)に換えていったとえ思って下さい)。

そのような状況下、IBMの売上、利益率はみるみる減少していき、倒産寸前まで追い込まれていきました。

ルイ・ガースナーって誰?


このような状況で、当時のIBMの経営層は必死になってこの状況を立て直せる経営者を探していました。

そのような中、白羽の矢が立ち、就任することになったのが当時ナビスコのCEOを務めていたルイ・ガースナーです。

勿論この様な状況下でCEOをやりたがる人物などおらず、CEO探しは難航していました。

ルイ・ガースナーも、最初はアホかと思っており全く興味を持ちませんでしたが、持ち前の挑戦心がくすぐられたのと、勧誘者のジム・バークに「IBMの倒産はアメリカの敗北だ、アメリカの至宝を救うためにお願いしたい」という熱い想いを伝えられ、就任することを決意しました。

この辺りは、ジョブズがジョン・スカリーに「残りの人生、このまま砂糖水を売ることに費やしたいのか、それとも世界を変えるチャンスをものにしたいか?」と言って口説いたのに通ずるものがありますね。

元マッキンゼーIBM V字回復CEOの経営層人選基準


前置きが長くなりましたが、そのような形でIBM CEOとなったルイ・ガースナーは、これまで超官僚的だったIBMにあらゆる角度でメスを入れていきます。

当時分社化すると言われていたIBMの統合維持の判断、地域では無くサービス軸での組織再編、広告代理店の1社への集約とグローバル統一イメージの構築(当時米国だけで70社の広告代理店と契約を結んでいた)等、これまでのIBMでは考えられなかった組織変革をどんどん進めて行きます。

その中で、成功の一因となったのが、経営層の人選だと言います

。当時IBMでは、形骸化した経営層の組織体がありましたが、それを解散し、新たな基準で人を集めました。では、どのような基準で人選したのでしょうか。

①顧客への対応姿勢


ガースナーは、それまで内向き完了的だったIBMを、顧客が何を求めるかからサービスを定義する完全顧客志向の企業へと変化させます。その中で、新たな経営層に一番求めたのは顧客への対応の姿勢でした。顧客対応の一挙手一投足を観察することにより、篩いをかけて選別していきます。

②考えが明確か


会議における発言において考えが明確であるかを重視していました。

ここで言及しているのは、「正しいか」ではなく「明確か」ということです。ビジネスに正解はありません。

その中で、自身のロジックを元にしっかりとした考えを持てているかとことを重視しています。

今風に言うとポジションが取れているということですかね。

③CEOが眉をひそめても意見を変えない勇気があるか

これはサラリーマンでは苦手な人が多いのではないでしょうか。

このような危機的な状況では、YESマンが何人いても意味がありません。CEOがいつでも全て正しいとは限りません。

必要なのは異なる実のある意見のぶつけ合いによる戦略の昇華です。

④問題を率直にエスカレーション出来ているか


これも言うは易く行うは難しですね。

危機的状況にあっての問題の隠蔽は即ゲームオーバーに繋がります。

ベンチャー企業もそういう意味では似ている状況かもしれませんね。

まとめ


以上がルイ・ガースナーの人選基準です、いかがだったでしょうか。

個人的に意外だったのは、「優秀かそうでないか」について言及は無く、仕事に対する姿勢ばかりというところです。

要は、仕事に於ける最優先事項が、本人の利益なのか、会社の利益なのか、という個々人の職務哲学の話かもしれないですね。

『巨象も踊る』はケースとしても読み物としても非常に面白い本なので(ガースナーが全社員に鼓舞するメールを送ったところ、駄目出しメールが沢山の平社員から送られてきた、というエピソードが実際のメール文面と併せて紹介されていたり、ユーモアもたっぷりです)また別の角度からご紹介しますね。

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