先日「ニュータイプの時代」を読みましたが、その中で「今後自分で問題を発見し、自分だけの答えを出していくことが重要になる」とのメッセージがありました。
確かに、そのことは納得出来るし、体感としても今後重要になって行くであろう事は分かります。
ただ、ではどうやって自分なりの答えを出してけばいいのか?といった疑問が浮かんできました。
巷ではロジカルシンキンのような、最適解を求めるための思考本が沢山あります。
ただ、ロジカルシンキングでは「オリジナルな」考えには中々結びつきません。
このような問いについて平易に分かりやすく書かれている本が余り無さそうだな、と悩んでいたころ、正にタイトルにあるように「自分だけの答えが見つかるアート思考とは?」というのが気になり、「自分だけの答えが見つかる 13歳からのアート思考」を読んでみました。
正に今自分が知りたかった「自分だけの答えの出し方」が書いてある最高の本でした!
また、非常にとっつきにくい「アート」という存在についても、それこそ13歳でも分かるように書かれており、「自分だけの答えの出し方」や「アート」について少しでも興味のある学生、社会人全員におすすめ出来る超良書でした!では、この本の主題である「アート思考」について説明していきたいと思います!
アート思考とは?
この本の主題であるアート思考とは、つまり「自分だけの答え」を考えるため、アーティストの様な思考方法です。
何故「自分だけの答え」を考える時にアーティストを参考にするかというと、これまで歴史で名を馳せて来たアーティストは皆、アートの文脈の中で「自分なりの答え」を提示し、アートの価値観をひっくり返すことにより評価がされて来たからです。
そのようなアーティストの思考方法を、「花」に例え、必要な要素を以下の3つに分類しています。
- 表現の花を咲かせること
- 興味・関心のタネを蒔くこと
- 探求の根
このような要素を理解することにより、まるでアーティストのように「自分だけの答え」を考えられるようになることがこの本の訴求価値です。では、各要素を順に見て行きましょう!
表現の花を咲かせること
これは活動のプロセスとしては最後なのですが、最も分かりやすい話なので、まずお話ししたいと思います。
「表現の花」とは、つまりそのアーティストの作品のことです。ゴッホだったら絵だし、モーツァルトだったら曲になります。
よく一般的に考えられているのは、作品が最重要され、その背後にある歴史的な背景やアーティストの主題がないがしろにされがちなことです。
ただ、そのアーティストなりの背景が無いと、結局小手先上の付加価値の無い作品になってしまいます。
これまでアートの歴史を変えてきた作品は、それ自体というより、その背景の課題設定とその課題への回答の説得力で世に認知されたのです。
そのような背景の考え方が「興味・関心のタネ」と「探求の根」です。
興味・関心のタネを蒔くこと
作品の根本には、興味・関心のタネがあります。
興味・関心のタネとは、その人個人の最も強い興味・関心への問いのことです。この本では一例として、マティスの「妻の肖像」が挙げられています。
マティスとは「20世紀のアートを切り開いたアーティスト」と称されるアンリ・マティスのことで、1905年にマティスが発表したこの作品は、これまでの絵画の様な精巧な絵ではなく、かなり荒々しい筆遣いと色遣いで描かれた肖像画でした。
一見かなり稚拙にも思える絵ですが、これがアートを変えた作品の一つとして掲げられているのです。
実は、この時代はカメラの登場により、見たものを正確に写す写実的な絵が急速に価値を失ったという時代背景があり、マティスはこの中で「今後の絵画の価値とは?」というアートのあり方を問う根源的な問いを設定したことにより評価されたのです。
探求の根
また、興味・関心のタネを持った後には、心の赴くまま探求することが重要になります。
一般的に、興味・関心は何となく分かっている人が多くても、余り探求せずに、表層的な理解で終えてしまう人が多く見受けられます。
アーティストの様に「自分だけの答え」を導き出すためには、自分なりに探求するプロセスがどうしても必要になります。そして、人違ったアイディアを持つには、そもそもまずその対象に並々ならぬ愛が必要になるのです。
つまり、自分なりの答えを出すには、そもそも興味・関心の持てる分野で活動していることが前提として必要になるのです。
最後に
「ニュータイプの時代」「13歳からのアート思考」を読んで、これらの本に共通しており、かつ最も強いメッセージだと感じたのは、「自分が強い関心・興味のある分野で活動しろ」ということです。
結局、自分なりの答えを見つけるためには、そもそもほっておいてもそのことについて考えてしまうような強い興味・関心が必須であり、これが無い限り、ロジカルシンキングのような論理的に考えた最適解を求めるコモディティ化した価値の発揮しか出来なくなってしまうのです。
人によっては、「戦う土俵を選べ」と言っていますが、正にこのことが今後の働き方において最も重要な考えになっていくと思います!